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cvELD Quick INK

Blenderの3D画面に、まるでイラストのような綺麗なインク線をリアルタイムに描いてくれるアドオンです。インストールから基本の使い方、線のこだわり設定、画像の保存、困ったときの解決法までを分かりやすくまとめています。

cvELD_QuickINK · Version 1.0.0 · Blender 4.5.0+ · Author: Land-Y

はじめに

cvELD Quick INK(クイック・インク)は、Blenderの3D画面上で、まるでイラストやマンガのような綺麗なインク線をリアルタイムに描いてくれるツールです。

3Dモデルを作っている最中に「いまどんな線画になるか」をその場で確認できるので、「モデルを作り終わったあとに線画を出してみたらガタガタで、最初から直すハメになった……」というような二度手間をなくし、形作りと線画の仕上げを一緒に進めることができます!

はじめて使うときの流れ

スザンヌを使った10枚の比較図を、各機能の説明に添えています。全体の変化・細部の拡大・操作場所を確認できます。画像をクリックすると原寸で開きます。撮影はBlender 5.2.1の実画面です(UIは日本語、図中に英語を併記)。

  1. まず下の「インストール・更新・削除」を見て、アドオンを有効にします。
  2. Blenderの3D画面の上にマウスを置き、キーボードの N キーを押して右側の設定バーを開き、Quick INK タブを選びます。
  3. 一番上にある Quick INK のスイッチを「入」にし、すぐ下にある このビューに描画 も「入」にします。これで画面に線が現れます!
  4. 設定に迷ったら、まずは「かんたん」モードにある「用途プリセット(オススメ設定のセット)」から好きなものを1つ選び、線の太さを少しずつ動かして好みに合わせてみましょう。
  5. 「線が出ない!」「重い!」などの困ったことがあれば、「トラブルシューティング」をチェックしてください。

設定はどこに保存される?

  • 線の太さや色の設定、レイヤーのオン・オフ、選んだプリセットなどは、すべてBlenderのセーブデータ(.blendファイル)の中に自動で一緒に保存されます。
  • 「お気に入りの線の見た目」を別の作品でも使いたいときは、設定をJSONファイルとして書き出して、他のファイルで読み込むことができます。
  • 画面に一時的に出している線そのもののデータは保存されません。次にファイルを開いたとき、保存された設定をもとに自動で線を描き直してくれます。

※アドオンを新しく更新するときや、設定を大きく変える前には、念のため作業中の .blend ファイルとJSON設定を保存しておくのがオススメです。

インストール・更新・削除

動かすために必要なもの

  • Blender 4.5.0 以降が必要です(アドオンを動かせる一番古いバージョンが4.5.0です)。
  • 開発者が実際に動くことを確認した環境は Blender 5.2.1 / OpenGL です。
  • 別の特別なソフトを追加で入れる必要はありません。

使えるパソコン(グラフィックボードの条件)

チェック項目詳しい内容
実際に動くのを確認した環境Blender 5.2.1 / OpenGL / NVIDIA GeForce RTX 5090
必要な機能(グラボの仕様)Blenderの中で「コンピュートシェーダー」と「image load/store」という機能が使えるOpenGL環境が必要です(レイトレーシング用のRTコアやCUDA、Tensorコアは使っていません)。
買うときのグラボの目安デスクトップパソコン向けの NVIDIA GeForce RTX 2060(ビデオメモリ6GB)クラス以上 が目安です(※RTX 2060の仕様から計算した目安であり、実際にその機種で動かしてテストしたわけではありません)。
GeForce以外のグラボ同じOpenGLの機能を持っているAMD(Radeon)やIntelのグラフィックボードでも動く可能性はありますが、開発環境ではRTX 5090以外での実機テストは行っていません。

※「グラフィックボードが入っているパソコン」であっても、世代が古すぎると動かない場合があります。このアドオンは特殊なプログラム(コンピュートシェーダー)を使ってパソコンの頭脳(GPU)で直接線を計算しているためです。また、画面がとても広かったり、とても複雑なシーンを描くときは、グラボのパワーやメモリの大きさ(VRAM)によって動く速さが変わります。

目安としてRTX 2060を挙げているのは、NVIDIAの公式仕様でOpenGL 4.6に対応しており、このアドオンが必要とするシェーダー機能を満たしている世代だからです(※仕様からの推定であり、完全な動作保証ではありません)。

起動して線を表示させる

  1. インストール後、Blenderを起動して3D画面の上にマウスを置きます。
  2. キーボードの N を押して右側のサイドバーを開き、Quick INK タブをクリックします。
  3. 一番上の Quick INK を「入」にして、このビューに描画 を「入」にすると、画面内のモデルにインク線が表示されます。
ボタンひとつでアウトライン: Quick INK と「このビューに描画」を有効にします。輪郭と顔の起伏に線が現れます。
01 · ボタンひとつでアウトライン — Quick INK と「このビューに描画」を有効にします。輪郭と顔の起伏に線が現れます。 クリックで拡大表示

新しくインストールする手順

  1. 手に入れた cvELD_INK のZIPファイルを用意します(解凍しないでZIPのままでOKです)。
  2. Blenderの上のメニューから 編集 > プリファレンス > アドオン > 右上の「ディスクからインストール」 を開きます。
  3. 用意したZIPファイルをそのまま指定してインストールします。
  4. 検索欄に cvELD_QuickINK と打ち込み、チェックを入れて有効にします。
  5. 3D画面で N キーを押し、右側のタブに Quick INK が出ているか確かめます。

アドオンを新しいバージョンに更新する

  1. 念のため、今作っている .blend ファイルとJSON設定を保存しておきます。
  2. 新しいZIPファイルを用意し、同じように「ディスクからインストール」でインストールします。
  3. 一度アドオンのチェックを外して(無効化)、もう一度チェックを入れ直します(必要ならBlenderを再起動してください)。

アドオンをアンインストール(削除)する

  1. プリファレンスのアドオン画面で cvELD_QuickINK のチェックを外します。
  2. アドオン画面の「削除」操作を実行します。
  3. ※ダウンロードしたZIPファイルや作業フォルダーまでは勝手に消えないので安心してください。

ユーザーガイド

使い方の基本手順

  1. 3D画面で N キーを押し、右側の Quick INK タブを開きます。
  2. 一番上の Quick INK を「入」にします(別の3D画面でも線を出したいときは、その画面でも このビューに描画 を「入」にします)。
  3. まずは「かんたん」モードの中にある「用途プリセット」から、作りたいイメージに近いものを1つ選びます。
  4. 線の太さ、色、濃さ、線の入り抜き(シュッとした細さ)を好みにスライダーで調整します。
  5. もっと細かいこだわり設定をしたくなったら、「アドバンスモード」に切り替えて調整します。

Quick INKは、最大4つまでの3D画面でそれぞれ「線を表示する・しない」を個別に選べます。画面の右上にある表示設定からも切り替えられます。

モデリング中も線を確認: 編集モードの頂点・辺と、インクの輪郭を同時に確認できます。細分化前の編集ケージを表示。
02 · モデリング中も線を確認 — 編集モードの頂点・辺と、インクの輪郭を同時に確認できます。細分化前の編集ケージを表示。 クリックで拡大表示

「かんたん」と「アドバンス」の違い

モード名こんなときに使おう
かんたんよく使う大事な設定だけがギュッとまとまっています。普段の作業や最初はこれだけで十分です!
アドバンス線の種類、対象のパーツ、画像の書き出しなどを細かくプロ仕様で設定できます。ツールに慣れてきたら使ってみましょう。

アドバンスモードの詳しい設定

アドバンスモード を押すと、線の細かい見た目やパーツごとの設定を自由自在にいじれるようになります。数字を変えるとすぐに画面の線が変わるので、「まず1つだけ数字を変えてみて、どう変わったか見る」 を繰り返すと迷いません!

画面の上のほうにある 線 は線全体の見た目、対象 はパーツごとの設定、出力 は画像の保存設定、その他 はおかしなところを調べる検査や焼き込み機能です。タブを切り替えても設定が消えたり混ざったりすることはありません。

線:INKの基本(線の全体設定)

設定の名前どんな効果? どう使う?
品質線のキレイさ(細かく計算する度合い)です。上げるほど綺麗なめらかになりますが、動作が重くなります。重くて動きがカクつくときだけ下げましょう。
基準の太さシーン全体の基本となる線の太さ(ドット数=ピクセル)です。全体の線を太く・細くしたいときはまずここを動かします。
線のサイズ絶対にすると画面サイズに関係なく指定したドット幅を保ちます。相対にすると、フルHD(1080p)を基準に画面の大きさに合わせて線の太さが自動で変わります。
向き輪郭線の太らせ方を決めます。両方 / 内側 / 外側 から選べます(※キャラクターの外側の輪郭だけに効き、服や顔の中の線には影響しません)。
最小幅「どんなに細くなっても、これ以上は細くしない」という最低の太さです。細い線がかすれて薄い灰色になってしまうのを防ぎたいときに使います(0にすると無効)。
先端の抜き線の端っこがシュッと細くなったとき、細さだけでなく「だんだん透明にして消す」強さです。アニメのペンのように毛先をクッキリ残したいときは数値を小さくします。
アウトラインの下限「アウトライン保持」などを付けたパーツの一番外側の輪郭線を、最低何ピクセル残すかを決めます(0にすると基準の太さにおまかせ)。
アウトラインの濃度下限外側の輪郭線が薄くなりすぎないようにする「最低限の濃さ」です(0にすると無効)。
色 / 不透明度シーン全体の線の色と透明度です(※線の種類ごとに別の色を付けたいときは、「線の詳細設定 > 線の見た目」で上書きできます)。
示唆的輪郭輪郭やパキッとした折れ目ではない、ほっぺたの丸みや服のふくらみなど「ゆるやかな起伏」にふんわり線を出す機能です。見る角度によって位置が変わります。
しきい値示唆的輪郭の出やすさです。高くすると線が減ってすっきりし、低くするとちょっとした凹凸にも線が出るようになります。
稜線谷間(くぼみ)だけでなく、山(ふくらんだ尾根)の部分にも線を引きます。形は分かりやすくなりますが、線が増えてごちゃつくことがあります。
鋭い折れ目ポリゴンの面と面の角度を直接測ってパキッとした線を引きます。見る角度を変えたときに線がチカチカ点滅するのを防ぎたいときに役立ちます。
最小角度「どれくらい曲がっていたら折れ目とみなすか」の角度です。小さくするとゆるい角も拾いますが、丸い部分にも余計な線が出やすくなります。
陰影との一致光と影の境目とぴったり合う角だけに線を引きます。なめらかな丸みに誤って変な線が出てしまうのを防ぐのに便利です。
線の太さを調整: 基準の太さだけを変更した比較です。下段の目・眉の拡大で、細い線と太い線の違いを確認できます。
04 · 線の太さを調整 — 基準の太さだけを変更した比較です。下段の目・眉の拡大で、細い線と太い線の違いを確認できます。 クリックで拡大表示

線幅の自動調整とリズム(手描き風の強弱)

線幅の自動調整 は、線の端っこや角、線同士が交わる交差点を自動でキュッと細くして、プロの絵描きさんがペンで描いたような「入り・抜き・抑揚」をつける機能です(※INKレイヤーに効きます)。

設定の名前どんな効果? どう使う?
強さ手描き風の強弱をつける全体の強さです。0にすると均一な太さになります。
ふくらみの範囲線の端っこから普通の太さに戻るまでの長さです。大きくすると、長めの範囲にわたってシュッと細くなります。
先端スケール線の端っこ(毛先)の太さです。0に近づけるほど針のように鋭い毛先になります。
ふくらみ量線の真ん中あたりをグッと太くふくらませる量です。0にすると端っこが細くなるだけになります。
ふくらみカーブ線の太くなり方のカーブ(曲がり具合)です。大きくすると細い部分がキュッと長く続きます。
分断角度急な折れ曲がりがあったとき、そこで線を別の線として切り離す角度です。大きすぎると線がブツブツ短く切れてしまいます。
分岐点で切断線と線が交差する場所で線を切り離します。十字に交わる場所でしっかり入り抜き(シュッとした細さ)を出したいときにオンにします。
重なりを太く前後のパーツが重なり合っている部分の線を太くします。髪の毛の束が重なっている立体感を強調したいときに便利です。
外形の判定外周の線を「背景との境目だけ」にするか、「別のパーツと重なる境目も外周とみなすか」を選べます。
外形を太くキャラクターの一番外側の輪郭線だけをドカンと太くします! アニメ絵のようにキャラを際立たせたいときの必須設定です。
ディテール線のトリムパーツや材質の境目の線を細く(または太く)します。外側の輪郭を目立たせつつ、服の模様などの内側の線をスッキリ控えめにしたいときに使います。
リズム長い線の途中に、自然な手描きの「ゆらぎ(太さの波)」を加えます。定規で引いたように均一すぎて不自然なときに使います。
リズムの長さゆらぎの波の長さです。小さくすると細かく波打ち、大きくするとゆったり波打ちます。
リズムの起点ゆらぎの模様を「3Dモデルに貼り付ける」か「画面に固定する」かを選びます。モデル側に固定すると、カメラを動かしても模様がチラチラずれません。
リズムのシードゆらぎ方のパターンの番号(乱数)です。数字を変えると別の波打ち方になります。

線の詳細設定:線の見た目(色や質感)

設定の名前どんな効果? どう使う?
線種ごとに変える輪郭、交差、境界、折れ目で、それぞれ別の色や太さを指定できるようにします。
外形 / 交差 / 境界 / クリースそれぞれの線の種類ごとの色と太さです(※交差線の設定を変えるときは、先に「交差線」をオンにしておいてください)。
線の透過 / ピールバイアス透明なパーツ(メガネの前髪など)越しに、後ろにある線を透けて見せる機能です(面に透明度Aを塗っているときに効きます)。
ストレッチ / 角度ペンの先を丸から「楕円」に伸ばして角度をつけます。平たいカリグラフィーペンのような線にできます(0なら普通の丸いペン先)。
背面裏側の面をどう描くかを ビューポートに追従 / 常に非表示 / 常に保持 から選びます。紙のようにペラペラな板やスカートでは「常に保持」が便利です。
有機的な辺線をアナログの手描きのように波打たせ、紙の上に描いたような「かすれ」や「にじみ」を加えます(0に戻せば元のデジタル線に戻ります)。
揺らぎ / 粗いエッジ / かすれ筆線のゆがみ、フチのザラザラ感、インクが切れたようなかすれをそれぞれ増やせます。
テクスチャスケールかすれやザラザラの模様の細かさです。小さくするほど繊細なザラつきになります。
インクにじみ / にじみ半径線の外側にじわっと薄いインクを広げます。水彩画や万年筆のような味が出ます。
オブジェクトに固定かすれの模様を3Dモデルに固定する強さです。1にするとモデルにペタッと貼り付き、カメラを動かしても模様が滑りません。
距離による縮小カメラから遠い場所にあるモデルの線を、自動で細く・薄くして、遠くが真っ黒につぶれるのを防ぎます。
遠景の細線化画面の中で小さく映っているパーツの線を自動で細くします。引きの構図(ロングショット)で線が密集して黒くなるのを防げます。
色と不透明度を調整: 基本色をマゼンタにして濃さを比較。ここでは「線種ごとの色・太さ」を無効にし、基本色を使用しています。
05 · 色と不透明度を調整 — 基本色をマゼンタにして濃さを比較。ここでは「線種ごとの色・太さ」を無効にし、基本色を使用しています。 クリックで拡大表示
白フチで輪郭を際立たせる: 外側のフチを有効にし、幅を12に設定。黒いインクの外側に白い縁が加わります。
09 · 白フチで輪郭を際立たせる — 外側のフチを有効にし、幅を12に設定。黒いインクの外側に白い縁が加わります。 クリックで拡大表示

線の詳細設定:線をつなぐ・ゴミを消す

設定の名前どんな効果? どう使う?
線のつながり途中でプチプチ途切れて点線になってしまった線のすき間を、自動でつなぎ合わせます。
パスすき間を埋める処理を何回繰り返すかです。長くとぎれた線を繋ぐときは増やしますが、繋ぎすぎると余計な線までくっつくので注意しましょう。
隙間を塞ぐ太い線の角にできる小さな穴(すき間)を埋めます。細い線をカチッと几帳面に保ちたいときはオフにします。
斑点を除去 / 最小の長さ線にならずに点やトゲのようにポツポツ出てしまったゴミを消します。数値を上げるほど短い線が消えます。
深度バイアス前後の奥行きの差を線として見つける感度です。ゆるやかな段差がプチプチ切れるときは少し下げてみましょう。
折れ目の角度面の折れ曲がりを線として拾う感度です。数値を下げると、なだらかな角も線にしてくれます。
オブジェクト/マテリアル境界パーツ同士の境目や、材質(マテリアル)が切り替わる境目に線を引きます。
法線角度 / 最小 / 最大カメラに対してどの方向を向いている面だけに線を引くかを決めます(特定の角度だけに線を出したいときに使います)。
線が多すぎるとき:小片を除去あちこちに散らばった短い線がゴミのように見えるときに、まとめてすっきり消してくれます。
ブラックアウト防止遠くのモデルに線が密集して真っ黒になってしまうのを防ぎます。手前の線には影響しません。
間引き / 密度目標 / 強さ線がごちゃごちゃに密集した場所の細い折れ線だけを、うっすら薄くして見やすくします(線の位置はそのままで濃さだけを落とします)。
範囲と負荷:コレクション指定したコレクション(フォルダー)の中にあるパーツだけに線を引きます。
カリング / 最小画面サイズ画面の外にはみ出しているパーツや、小さすぎて見えないパーツの計算をスキップして、パソコンを軽くします。
再生中は全部作り直すアニメーション再生中に、毎フレームすべての線の情報を新しく作り直します。キャラクターが動いたときに線が遅れてついてくるときだけオンにし、動作が重いときはオフにしましょう。

折り目の底上げ(初期値: 0、範囲: 0〜4):モデリングで作った折り目(プリーツスカートのひだなど)が点線になってしまうのを直す設定です。感度を下げるのではなく、角の角度を足し算して補強するので、しっかり繋がった線になります。※まず「基準の太さ」で線を太くしてから上げてください。線が細いまま上げるとかえって途切れやすくなります。目安は1.0前後で、2.0を超えると逆効果になるので注意しましょう。

レイヤータブの追加設定(他の線の出し方)

設定の名前どんな効果? どう使う?
反転ポリゴン:幅 / 色 / 不透明度3Dモデルをほんの少し風船のように膨らませて裏返し、外側の輪郭線を作る伝統的な手法です。カメラをグルグル回しても線がチカチカしないのが強みです。
深度オフセット反転ポリゴンを奥へどれくらい押し込むかです。線がチラつくときだけ少し動かします。
頂点カラーの幅を使う後述する頂点カラー(Rチャンネル)で塗った太さを、反転ポリゴンの線にも反映します。
ID 境界:幅 / 色 / 不透明度パーツ同士の境目やマテリアルの境目だけに引く線です。同じパーツの内側の折れ目には線を引きません。
マテリアル境界も1つのパーツの中でマテリアル(材質)が変わる境目にも線を引きます。
辺:マークシャープ / 法線が割れている辺 / UV シーム / クリース / 独立した辺Blenderのモデリングで辺に付けた目印(シャープやシームなど)の通りにそのまま線を引きます。
カーブ / グリースペンシルメッシュだけでなく、カーブで作ったヒモやグリースペンシルで描いたストロークにも線を引きます。
辺の見た目:幅 / 色 / 不透明度 / 深度オフセット辺レイヤーで描く線の見た目です。線がモデルに埋もれて途切れるときは深度オフセットを調整します。
ベクター:自動更新カメラやモデルを動かしたときに、自動でベクター線(Illustratorなどで使える線)を計算し直します(重いときはオフにして手動で「作り直す」を押します)。
判定の間隔 / 時間の上限 / 曲線の上限ベクター線を計算する細かさです。細かくすると綺麗なパスになりますが、計算に時間がかかります。
出力解像度で解く3D画面の大きさではなく、カメラのレンダリング画像サイズ(例: 1920x1080)に合わせて線を計算します。
線源輪郭、折れ目、マテリアル境目など、ベクター線にしたい線の種類を選びます。
ベクターの見た目ベクター線の輪郭・境界・折れ目の色と太さを個別に決めます。
クリプトマップ合成:線の太さレンダリングしたあとに重ねる線の太さです(0なら標準の太さ)。
マテリアル境界もレンダリング後の線画にも、マテリアルの境目を含めます。
線だけ(白地)背景を消して、真っ白な紙の上に線画だけが乗った画像を作ります。イラストソフトに線画素材として持っていきたいときに便利です。
ピント外の線を薄く / 線が消える距離カメラのピント(焦点)から離れている奥や手前の線を、だんだん薄くして消します(線をぼかすのではなく、消去してスッキリ見せます)。
被写界深度を切るクリプトマップを使うときだけカメラのピントぼけ(被写界深度)をオフにして、背景がボケているのに線だけクッキリ浮き上がってしまう違和感を防ぎます。

法線の割れ角(初期値: 20°、範囲: 0〜180°):これより急な折れ曲がりがある辺だけに線を引きます。数値を小さくしすぎると、アニメ調キャラの顔や髪など「なめらかに調整したモデル」のわずかな段差まで拾ってしまい、顔にヒゲのようなゴミ線が散らばってしまうので注意しましょう。

対象:パーツごとの個別設定

設定の名前どんな効果? どう使う?
選択中のみいまクリックして選んでいるパーツだけに線を出します。1つのパーツに集中して調整したいときに便利です。
線を出さない選んだパーツには線を引かないようにします(後ろにあるパーツの線はちゃんと見えます)。
透過そのパーツを完全に透明な空気のように扱い、奥にあるパーツの線が透けて見えるようにします。
シルエットのみパーツの中の細かい線を全部消して、一番外側の輪郭線だけを残します。
アウトライン保持中の線を消したとしても、外側の輪郭線だけはしっかり残します。
太さ:相対 / 絶対相対は全体の基準の太さにプラス・マイナスし、絶対はこのパーツ専用の決まった太さにします。
オフセット / 太さ相対のときは足し引きする幅、絶対のときはそのパーツの太さを直接入力します。
入り抜き / 根元 / 範囲 / カーブ髪の毛の束や草の葉のように、根元から毛先に向かってだんだん細くします。
複数選択に一括適用いま選んでいるたくさんのパーツに、同じ太さや入り抜きの設定をまとめてポンと適用します。
マテリアル:線幅倍率 / 色を指定特定の材質(マテリアル)が付いている部分だけ、線の太さや色を変えます。
この物体だけ線を出やすくするこのパーツだけ、折れ目や輪郭の線を出やすくします(点線になって途切れやすいパーツだけ少し上げます)。
常に更新アニメーション再生中に、このパーツだけ毎フレーム線を作り直します。服や髪が激しく動いて線が遅れるときに使います。
頂点カラーでインク制御メッシュの頂点カラー(cvELD_INK)をブラシで塗ることで、場所ごとに線の太さや濃さを自由自在にコントロールします(R=太さ、G=出やすさ、B=濃さ、A=透け感)。
Auto Ink:形状から自動調整モデルの形をAIのように自動分析して、いい感じの太さや線の出やすさを自動で計算してくれます。迷ったらオンにしておきましょう!
曲率 / コントラストモデルのくぼんだ谷間を太くする強さです。深い溝だけをクッキリ目立たせることができます。
細い所を細く / 細さの効き / コントラスト髪の毛先など、尖って細い部分の線を自動で細くします。
SDF サンプル数細さを調べる計算の細かさです。増やすとなめらかになりますが、計算に少し時間がかかります。
AO / AOを反転 / AO サンプル数 / AO 距離影になりやすい奥まったすき間に線を出やすく焼き込みます。反転させると、影の部分の線を消すこともできます。
エッジ意図 / 意図の効きシャープやシームなど、手動で付けた辺の目印を「線の出やすさ」に反映します。
ぼかし幅 / ぼかしの落ち辺の目印の効き目を、周りにじわっと広げる幅です。
二面角も見る / 角度しきい値目印を付けていない場所でも、急な曲がり角を見つけて線を出します。
根元→先端グラデーション / 開始位置 / 落ち方髪の毛や翼の根元から毛先に向かって、線をだんだんフェードアウトして消します。
太さにも掛ける上のグラデーションを、濃さだけでなく線の太さにも適用して細くします。
手塗りも上書き自分でブラシで塗った頂点カラーも、Auto Inkの自動計算で上書きします(普段はオフにしておき、手塗りをやり直したいときだけオンにします)。
必要なパーツだけ線を消す: スザンヌを選択して No Ink を適用。モデル自体は表示したまま、インクだけを除外します。
07 · 必要なパーツだけ線を消す — スザンヌを選択して No Ink を適用。モデル自体は表示したまま、インクだけを除外します。 クリックで拡大表示

出力 / その他:画像の保存とチェック

設定の名前どんな効果? どう使う?
カメラ / 出力先撮影に使うカメラと、画像を保存するフォルダーを選びます(空欄なら現在のカメラを使います)。
線だけ / 下地に合成背景が透明な「線画だけのPNG画像」と、モデルの着色に線を重ねた「完成形のPNG画像」をそれぞれ保存できます。
ベクター(SVG)拡大しても絶対に画質が荒れない「ベクター形式(SVG)」で線を保存します(ベクターレイヤーがオンのときに使えます)。
下地レンダリングする にすると本格的な光と影(EEVEE / Cycles)の背景になり、ビューポート風(速い) にすると作業画面のまま高速で保存できます。
ファイル名 / SVGのファイル名保存するファイルの名前です。名前の中に # を入れると、その部分が 0001 などの連番数字になります。
倍率保存する画像の大きさを倍率で変えます(2.0なら縦横2倍の高画質になります)。
シーンの範囲を使う / 開始 / 終了 / 間隔アニメーションを連番で書き出すときのフレーム範囲です。
出力モードすべての線を1枚の画像にまとめるか、線の種類ごとに別々の画像ファイルに分けて保存するかを選べます。
シーン検査線が汚れたり崩れたりしそうな怪しいポリゴンがないか、モデル全体を自動でパトロールしてチェックしてくれます(※モデルの形を勝手に変えたりはしません)。
焼き込み:曲率 / AO / 頂点群曲がり具合や影の情報を、頂点カラーにしっかり書き込みます(失敗したらキーボードの Ctrl + Z で元に戻せます)。
フラッド塗り編集モードで選んだ面や頂点に、同じ設定を一発でまとめて塗りつぶします。
デバッグビュー / 動作状況アドオンが内部でどのように線を計算しているかを確認するための開発者向け画面です。普段はいじらなくて大丈夫です。

※設定がたくさんあって迷ったときは、まず 「基準の太さ」「色」「不透明度」 の3つだけをいじってみましょう。元に戻したくなったら、数字を初期値に戻すか、保存しておいた .blend ファイルを開き直せば元通りになります!

用途プリセット(オススメ設定セット)

「どんな作品を作りたいか」に合わせて、ワンクリックで最適な設定にしてくれるショートカットです。「手描き風」「アニメーション」「示唆的輪郭」「ベクター」の4種類があります。キーボードの Shift を押しながらクリックすると、複数の効果を組み合わせて重ねることもできます。

また、見た目を一発で変えるプリセットとして以下の3つを用意しています:

  • 清書:迷いのない均一な線に、軽い入り抜きをつけた綺麗な仕上げ向け設定です。
  • キャラ作画:外側の輪郭を太くし、ペンの入り抜きを強く利かせた、アニメやイラストのキャラクター向け設定です。
  • 背景・メカ:線の太さの強弱をなくし、スッキリ細い均一な線で描く、背景の建物やロボット、機械、図面向け設定です。
💡 上達のコツ: 最初はプリセットを1つ選び、レイヤーを1つだけオンにし、線の太さを1か所だけ変えてみましょう。「どこの数字を変えると絵がどう変わるか」が一番わかりやすくなります。
用途プリセットを見比べる: 同じスザンヌ・同じ視点で切り替えています。プリセットは線の太さだけでなく、線を出す方式や検出設定も変えます。
03 · 用途プリセットを見比べる — 同じスザンヌ・同じ視点で切り替えています。プリセットは線の太さだけでなく、線を出す方式や検出設定も変えます。 クリックで拡大表示

線の種類と対象

5つの線レイヤー

レイヤー名どんな線? どんな役割?
手描き INKこのアドオンの主役です! モデルの凹凸や境界から、アニメのような美しい強弱のあるインク線をパソコンの頭脳(GPU)で高速に描き出します。
反転ポリゴンモデルを少し膨らませた裏面を使って輪郭線を引きます。カメラを動かしても線がチラチラしないのが特徴です。
ID 境界別々のパーツが合わさる境目や、材質が変わる境目だけに線を引きます(同じパーツの内側の折れ目には線を引きません)。
辺Blenderで「シャープ」や「シーム」を付けた辺、ワイヤーフレーム、カーブ、グリースペンシルの線など、モデルの骨組みを直接線にします。
ベクターモデルから滑らかな曲線のパス(ベクターデータ)を抜き出して線を描きます。SVGファイルとして保存してIllustratorなどで編集できます。
線レイヤーの違い: 各レイヤーを単独で表示。反転ポリゴンは裏面の輪郭、ID境界はオブジェクト・材質の境界を描きます。
06 · 線レイヤーの違い — 各レイヤーを単独で表示。反転ポリゴンは裏面の輪郭、ID境界はオブジェクト・材質の境界を描きます。 クリックで拡大表示

頂点属性(ペイントで線をコントロール)

モデルに cvELD_INK という名前の色属性(カラーアトリビュート)を作ると、頂点ペイントで色を塗ることで、場所ごとに線の出方を直接コントロールできます!

色のチャンネルコントロールできること
R(赤)線の太さ。0で線が完全に消え、0.5で普通の太さ、1.0で2倍の太さになります。
G(緑)線の出やすさ。0.5が標準です。数値を上げると、ゆるやかな起伏でも線が出るようになります。
B(青)線の濃さ。線の不透明度(クッキリ度)を決めます。
A(アルファ)線の透け感。手前にある面を透かして、奥にある線をどれくらい見せるかを決めます(0で通常、1で完全に奥の線が見える)。

※面ごとの線種スタイルは cvELD_INK_STYLE に保存されます。「対象」タブを使えば、「このパーツだけ線を出さない」「このパーツは輪郭線だけにする」といった指定も簡単に行えます。

頂点属性で部分的に強弱をつける: 右は R を左0→右1へ設定した例です。両方とも基準の太さは5。Rは0で幅なし、0.5で基準、1で2倍になります。
08 · 頂点属性で部分的に強弱をつける — 右は R を左0→右1へ設定した例です。両方とも基準の太さは5。Rは0で幅なし、0.5で基準、1で2倍になります。 クリックで拡大表示

レンダリングと画像保存

クリプトマップ合成(レンダリング線画)

  1. Blenderのレンダーエンジンを EEVEE にし、3D画面のシェーディングを「レンダー表示」にします。
  2. 上部の Quick INK を有効にしたまま、クリプトマップ合成 ボタンを押します。今あるコンポジター設定を壊さずに、パーツの境目に綺麗な線画を自動で差し込みます。
  3. フラット表示 を押すと、背景の色を消して線画だけを黒白でプレビューできます。
  4. もう一度ボタンを押せば、いつでも元のレンダリング状態に戻せます。

※EEVEEなら画面上でリアルタイムに線画が動きます。Cyclesの場合はレンダリングが終わった後に綺麗に合成されます(半透明やブレンドになっているマテリアルは対象外です)。また、カメラのピントぼけ(被写界深度)を使うときは、背景がボケても線だけクッキリ浮いてしまわないように設定を調整してください。

レンダー表示に線を合成: Quick INKを有効にしたEEVEEのレンダー表示。通常の線レイヤーは無効、合成の線だけを表示(面のエッジも有効)。
10 · レンダー表示に線を合成 — Quick INKを有効にしたEEVEEのレンダー表示。通常の線レイヤーは無効、合成の線だけを表示(面のエッジも有効)。 クリックで拡大表示

PNG / SVG画像の書き出し

  • 線だけの透過PNG と、背景と重ねた完成PNG をそれぞれ別々に保存できます。
  • 背景は、本格的なEEVEE / Cyclesのレンダリング画像にするか、作業画面そのままのハイスピード出力かを選べます。
  • SVG形式 を選ぶと、IllustratorやInkscapeで拡大しても粗くならないベクター線画として保存できます。
  • 画像の保存先は、作業中の .blend ファイルの1つ上のフォルダーにある renders/ フォルダーになります(保存前の場合はパソコンのホームフォルダー内の cvELD_INK/ に保存されます)。
  • 保存する画像の解像度倍率や、連番アニメーションのフレーム範囲も自由に指定できます(ファイル名に # を入れると 0001 などの連番になります)。

自動化・検査・設定

Auto Inkと焼き込み

  • Auto Ink:選んだモデルに自動で cvELD_INK を作り、モデルの形から「太さ」「出やすさ」「濃さ」を一発で自動計算して焼き込んでくれます。
  • 曲率を太さへベイク:モデルの凹んでいる谷間を自動で見つけて、R(太さ)へ書き込みます。
  • AOをRevealへベイク:奥まった影の部分を見つけて、G(出やすさ)へ書き込みます。
  • 頂点グループへベイク:自分で作った頂点グループのウェイトを、好きなチャンネル(R/G/B/A)へ転送します(※自分で手塗りした部分は、次回のAuto Inkで勝手に上書きされないよう保護されます)。
  • シーン検査:線がガタガタになりやすい不正なメッシュや設定ミスがないか、シーン全体を自動で診断してくれます。
  • 開発用:内部で計算しているデータやメモリ(VRAM)の使用量をチェックするための画面です。

折り目をRevealへベイク:折り目の鋭さを頂点カラーのG(出やすさ)に焼き込み、角に線が出やすくする機能です。※折り目が点線になって途切れているのを直す機能ではありません(むしろ線が増えます)。点線を繋げて綺麗にしたいときは、「線」タブの 折り目の底上げ を使ってください!

設定と便利なショートカット

アドバンスモードの各タブで調整したお気に入りの設定は、JSONファイルとして 保存 / 読み込み できます。

  • Ctrl + Shift + F9:Auto Inkの設定ダイアログを一発で呼び出せます(※Blender標準の F9 キーの操作は邪魔しません)。
  • 時間のかかる処理を実行しているときは、進捗バーの 中止 ボタンを押すか、キーボードの Esc キーを押せばいつでもキャンセルできます。

困ったときは?(トラブルシューティング)

線やパネルが出てこない!

こんなときここをチェックしてみよう!
アドオンの一覧にQuick INKがないBlenderの「編集 > プリファレンス > アドオン」で正しくインストールされてチェックが入っているか確認しましょう。3D画面で N キーを押して右側にタブが出ているかも見てみてください。
画面に線が出ない① 一番上の「Quick INK」が「入」になっているか、②「このビューに描画」が「入」になっているか、③ いずれかのレイヤー(手描きINKなど)が「入」になっているか、④「選択中のみ」がオンになっていて対象外になっていないか確かめましょう。
線が多すぎる! 太すぎる!「基準の太さ」を小さくするか、「品質」や「しきい値」を調整してみましょう。遠くが真っ黒になるときは「距離による縮小」をオンにします。
頂点カラーを塗っても線が変わらない属性の名前が半角で cvELD_INK になっているか確認してください。また、太さを変えたいならR、出やすさならGと、塗るチャンネルが合っているかも確認しましょう。
クリプトマップの線が出ないレンダーエンジンが「EEVEE」になっているか、3D画面が「レンダー表示」になっているか確認してください(Cyclesの作業画面では線が出ません)。

保存ができない・動作が止まってしまう

  • ベクター線の計算が遅くて重いときは、「自動更新」をオフにして、必要なときだけ手動で「作り直す」ボタンを押しましょう。
  • PNGやSVGが書き出されないときは、カメラが正しく設定されているか、保存先フォルダーが存在するか、書き出しフレーム範囲が合っているか確認しましょう。
  • 画面が固まったり線が消えたりするときは、パソコンのグラフィックメモリ(VRAM)がいっぱいになっている可能性があります。「品質」を下げるか、Blenderのグラフィック設定がOpenGLになっているか確認してください。
  • アドオンを更新した直後は古い情報がパソコンに残っていることがあるので、一度Blenderを保存して再起動してみてください。

作者へのお問い合わせ・不具合報告

バグを見つけたときや使い方が分からないときは、以下の情報を添えて 公式サポート(X: @cvELD_info) へお気軽にお知らせください!(作者: Land-Y)

  • 使っているBlenderの正確なバージョン(例: Blender 5.2.1)
  • パソコンのOS(Windows 11など)、グラフィックボードの名前(GeForce RTX 3060など)
  • 使っていたQuick INKのレイヤーや設定
  • 「どんな操作をしたときに」「どんなエラーが出たか」(エラー画面のスクリーンショットや、問題が起きる最小限の .blend ファイルがあるとすごく助かります!)

※みんなに見られたくない大事な制作データや個人情報は絶対に載せないように注意してくださいね。